読了本ストッカー『小説家の帰還 古井由吉対談集』
2011/8/3読了。
江藤淳、吉本隆明、平出隆、松浦寿輝、養老孟司、大江健三郎、各氏との対談集です。
なんと古井由吉氏の作品は読んだことがありません。大学のとき、今は亡き『STUDIOvoice』の「小説家の肖像」という特集で、インタビューを読んだのでした。そのとても清潔な感じに、惹かれたんだよなあ~。金井美恵子氏のことを知ったのも同特集でした!
平出 最近は馬事公苑を走っていらっしゃるそうですが。
(中略)
古井 公苑の周囲が低い石垣で囲われていて、その外側の歩道を走っているんですけれど、全長一マイルくらいですか。
……マイルかよ!
しかし私の見るところでは、連句というのはやっぱり循環だと思うのです。循環でしかない、反復でしかないという認識に立って先へ先へと進む。先へ先へというのは同じ反復でも新鮮な反復、よく清新という言葉を使いますが、これは幻想かもしれないけど、ある対比の中で束の間の清新ということはあるんですね。
しかし、副詞や形容詞など使うなど、純文学作家というのは感覚で書いているような印象をもっていましたが、理論派ですね~。
一々発言が洒落ているというか……養老氏との対談で、
古井 (作品を誉められて)ありがとうございました。対談が始まったら、まず最初におことわりしておきたかったのは、養老先生が解剖学とは何かと質問されるのを恐れているように、この作品は、小説かエッセイかと質問されるのを恐れているということです。その問題だけはご勘弁下さい(笑)。
大字の部分、なかなか言えないよな。さすが翻訳家というべきか。
最後は空をつかむ手つきを見せるだけに終わるかもしれないけれども。