読了本ストッカー『青空の卵』



2011/4/11読了。

〈ひきこもり三部作〉(だっけ?)の第一弾。
自室にひきこもってプログラマの仕事をしている鳥井真一。そんな真一と共依存状態にある坂木司。ふたりの成長(?)を描く物語です。

◆「夏の終わりの三重奏」
……真一と司が出かけたスーパーで出会ったひとりの女性。彼女はストーカーに遭っているというのですが……。<女性>に対する<悪意>が描かれます。

◆「秋の足音」
……駅で困っていた視覚に障害を持つ青年、塚田基を助けた縁で、相談に乗ることになった司。彼をつけ回す<双子>がいるというのですが……。
<障害>を間にしての<依存(かな?)>が描かれます。
視覚障害に対してロマンチックな幻想(目が見えない分、皮膚感覚や聴覚が鋭くなり、世界が豊かに感じられる、というような)を感じていた司が現実の絶望に気づく場面が印象的でした。

◆「冬の贈りもの」
……「秋の足音」事件で知り合った歌舞伎役者、石川助六の講演を観劇に行った司&真一は、助六がファンから妙な贈り物を送り付けられていることを知ります。
<夫婦>の問題が描かれます。身につまされるなあ……。

◆「春の子供」
……司が連れてきた子供、マリオ。言葉をしゃべろうとしない彼を巡って、司&真一の友人で、警官の滝本とその後輩小宮、そして真一の父、誠一が右往左往。
<子供><親子>の問題が描かれます。

◆「初夏のひよこ」
……本書をまとめる一編。登場人物のその後がちょっと描かれます。


キャラクターがとても面白くできていて、面白く読めました。
まあ、真一の<ひきこもり>具合が軽いような気もするし……初対面の人に無茶苦茶傍若無人な口を聞くし、ただの人嫌いじゃないかと思われます(笑)。仕事もしてますしね。
ま、それはきっと、作者がそこに重きを置いていないのではと思います。それよりも二人の共依存のほうが大問題ですしね。