読了本ストッカー:『黄金竜伝説』

黄金竜伝説 (ハヤカワ文庫JA)黄金竜伝説 (ハヤカワ文庫JA)
著者:友成 純一
販売元:早川書房
(1996-05)

2009/10/26読了。





記述師は未読本を積んでおいて、上から順番に取っていくランダム読書派なのですが、今回だけは2冊ほどズルして見送りました。つまり『海を見る人』と『フィンガーボールの話のつづき』よりも先に本書を読むはずだったのです。
それをなぜ譲ったかというと、以前『黒魔館の惨劇』を読んだとき急激な発熱にみまわれたからです。出張や子どもの運動会を控えていたため、掟(?)を破って読まないようにしていたのでした(笑)。

舞台は近未来。と言っても2020年らしいので、今や極近未来。九州をもはや日本ではなく、
「九州から台湾、フィリピンまで、そして朝鮮半島から中国本土の沿岸部を含めて、大きなアジア文化圏を形成しているのではないかと思える。
そして福岡は、紛れもなくそのアジア文化圏の中心の一つだ」
という捉え方は、以前読んだ『覚醒者』と同じ。というか、本書のほうが先です。

『覚醒者』ではホームレスとかが効果的に使われましたが、本書では外国人就労者。これ、大丈夫かな、差別問題とか。かなり冗長な文章も多く、削れる気もします。あまりスプラッタ表現はなく、日ユ同祖論とか、フリーメーソン陰謀史観とか、かなり伝奇小説よりでした。
<失われた十部(支)族>って伝奇ワードとしては知っていましたが、どういう意味なのか初めて知りました。なるほど。

若書きという印象が強い本書ですが、伝奇小説としてはとてもおもしろかったです。