読了本ストッカー『奇術師』

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)
著者:クリストファー・プリースト
早川書房(2004-02-10)

2009/10/4読了。





記述師文庫堂としてはこれを読まないわけにはいきますまい。というわけで、『奇術師』です。

アンドルー・ウェストリーは新聞記者。刑務所に服役中の、ある新興宗教の教祖が、他の場所に現れたという事件(?)の取材で教団を訪れます。そこで出会ったのが、ケイト・エンジャ。彼女は自分の曾祖父ルパート・エンジャと、アンドルーの曾祖父アルフレッド・ボーデン(アンドルーは養子に出されています)が消失奇術を得意とする奇術師であり、かつ天敵であったと語るのでした。

そして物語はアルフレッド・ボーデンが記した『奇術の秘法』という本の記述に移ります。しかしその本は、いわば<信頼できない語り手>。というか、『バルタザールの遍歴』か?散々自分の奇術の秘密を暴露するようなことを書いておいて、

こんなことなにもわたしに言ってないぞ!いったいこれはなんだ?いったいどこまで書かれるのか?わかるまではもうこれ以上書いてはならん!

とか。そして、視点人物がアンドルー→アルフレッド・ボーデン→ケイト→ルパートと代わるにつれ、だんだん明かされる事実……これはミステリか?SFか(ニコラ・テスラもちらっとででくるし)?しかしFT文庫だしなあ……。相当楽しめます。