読了本ストッカー『ジェニファー・ガバメント』

ジェニファー・ガバメント (竹書房文庫)ジェニファー・ガバメント (竹書房文庫)
著者:マックス バリー
竹書房(2003-12)







2009/8/27読了。

たしか大森望氏が誉めてた(たぶん)ので購入。じゃなきゃなかなか買わないでしょ、竹書房文庫(笑)。


著者紹介 マックス・バリー
マックス・バリーMaxBarryは(申し訳ないことに=本人談)オーストラリアの作家。前作『シロップ』で一部に熱狂的なファンを獲得したが、その際の筆名はMaxxだった(「販売戦略上の軽いジョークのつもりだったのに、気取ったぼけなす野郎だと思われちゃったみたいだ」)。1973年3月18日生まれ。現在メルボルンで作家活動に専念。ボクサーショーツ一枚で働ける境遇に幸せを感じているという。

訳者紹介 泊山梁
生没年不詳。英語圏のアクション・冒険小説の翻訳に従事。訳書(これから)多数。

ちょっとイライラする……(笑)。編集者が悪いのか……竹書房とは相性悪そう。『自虐の詩』は傑作なのにね(関係ないけど)。

本ブログは淀川氏ばりに誉めることをモットーとしているのに。 と、マイナスイメージから読みはじめた本書……意外に(?)お、面白い!

舞台は資本主義が行き過ぎた世界。世界はアメリカに牛耳られ、アメリカは民間企業に牛耳られ、人々はジョン・ナイキとか、○○・マクドナルドとかいうように、ファミリーネームに自分の所属する企業名を名乗っています。従って、馘になってしまえば、ファーストネームのみ。で、タイトルにもなっているジェニファー・ガバメントとは政府に勤めるジェニファーなわけです。

政府は弱体化しており、例えば殺人犯人ひとつ追うにも……

  ジェニファーは瞬きして、切り出した。「現場捜査官、ジェニファー・ガバメントです。お嬢さんのことは、心からお悔やみ申し上げます。こういう状況で、政府の手続きについてどこまでご存じだかわかりませんが」
  メアリの表情はうつろだ。ジムが口を開く。「金が欲しいんですね」
  ジェニフーは机の上で両手を組んだ。「犯人を追うため、資金が必要です。」


ジョン・ナイキやビリー・NRAが二人いる設定など、三谷幸喜を思わせる筆致。いやぁ映画になりそうですね。
本書の世界では、すべての成り立ちはマイレージ! 電車の中吊りのTポイントの広告を見ながら読むのが乙なものです(笑)。日本ならカルチャコンビニエンスクラブが黒幕かも、とか思いながら。