読了本ストッカー『葉桜の季節に君を想うということ』

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
著者:歌野 晶午
文藝春秋(2007-05)

2009/8/10読了。






賛否両論あるみたいですが……。これは、ネタバレせずに語るのが難しい作品ですねぇ。
 ま、恐れずに言えば、『イニシエーション・ラブ』の順位がまた下がった、かな?
歌野氏の著作は、実はまったく読んだことがないのですが、<このミス>で上位に選ばれたときは、「ベテラン歌野氏がついにやった!」という論調だったと記憶しています。違いましたっけ?ミ

ステリとして、至近読了の『生首に聞いてみろ』なんかと比べると明らかに分が悪い。というか天と地。トリック一発頼り的印象を与えてしまいますね。しかし、メイントリックひとつを見透かされてしまわれる可能性の高い『イニシエーション・ラブ』と比べれば、練られている。
イニシエーション・ラブ』のときも本書でも、他のレビューを見ていると、「私にはトリックが解ったけど、ミステリを読みつけない人にはいいかも」「ミステリマニアには楽しめないが、初心者なら驚ける」といった文章が多く見られます。
これっていつも可笑しく思うのですが、「トリックを見抜けたら楽しめない」「マニアでは楽しめない」というなら、それは小説としての必要条件を満たしてないですよね。つまりミステリ云々の前に作品としてマイナスなのでは?

記述師としては、楽しめました。特に借金地獄で犯罪に手を染める、節子の訳のわからない支離滅裂具合が最高でした。しかし、歌野氏の他の作品を読むかどうかは……若干悩むところですね。最近『ジェシカ~』を見かけたのですが、スルーしてしまいましたし。