読了本ストッカー:親と子の小説として……『PAY DAY!!!』

PAY DAY!!! (新潮文庫)PAY DAY!!! (新潮文庫)
著者:山田 詠美
販売元:新潮社
発売日:2005-07


 


 


2009/5/1読了。


本書は豊崎由美氏のブックガイドで知りました。山田詠美氏の既読本は『色彩の息子』『ラビット病』『ぼくは勉強ができない』『アニマル・ロジック』。実はあまり読んでいない。


以前村上龍氏が、どんな出自の人間でもどんな人種の人間でも主人公にして書ける、と豪語していたけど、山田氏もそうなんでしょうか。イタリア系アメリカ人の母親と、アフリカ系アメリカ人の父親の間に産まれた双子の兄妹ハーモニーとロビンの青春が生き生きと描かれます。


 Amazonのレビューを読んでみると、「9.11の扱われ方が不自然」「主人公たちがこしゃまっくれすぎ」という意見が頻出ですね。前者はともかく後者は……これ小説だからねぇ……十代の内面の真の意味でリアルに描いたら物語にならないと思う。一貫性なんてないはずだし。とてもよい小説だと思いました。


本書は青春小説というよりも、子どもを持つ身としては親の子どもとの距離の小説に思えます。だからかなり泣きそうになりました。


不満な点があるとすれば、不自然な註。



ロビンは、うんざりして、口に入れかけたチェリーを父の前にかざして見せた(チェリーには俗語で処女の意味もある)。


ジョシュ・ハートネット若手俳優


とか変な註が入っている……不自然。ジョシュ・ハートネットが若手じゃなくなったらどうすんだろうな。チェリーくらい知ってるでしょ、だれでも。そのくせジャズなんかの文言には註なし。なんじゃこりゃ。


山田詠美氏の初期作、読もうかなあ?全然読んでないんですよ。『放課後の音符譜』すら読んでないもんなあ。