読了本ストッカー:「頓に争力せむ(ひたぶるにちからくらべせむ)」……『本朝無双格闘家列伝』

本朝無双格闘家列伝 (新潮文庫)本朝無双格闘家列伝 (新潮文庫)
著者:夢枕 獏
販売元:新潮社
発売日:1999-11


 


 


2009/1/13読了。


エッセイと思いきや、夢枕氏本人も冒頭で述べているように小説だったんですね。そういやCコードが0193だしね。


古事記』『日本書紀』『大鏡』『今昔物語』『古今著聞集』などから、格闘について描かれた文章(ほんの数行だったりする)を引き出してきて、夢枕氏があることないことガンガン書き綴る作品です。



本稿は、本朝において記録された素手の格闘を、熱きパトスと優しき眼差しをもって、小説仕立てで読者に紹介するのを、第一の義と


しています。<熱きパトス>……(笑)。


相撲などから現代格闘技まで、ありとあらゆる格闘が綴られますが、本書を貫くテーマは、当麻蹴速の残したといわれるこの言葉、



何して強力者に遇ひて、死生を期はずして、頓に争力せむ


です。獏氏は繰り返し、男のDNAの中には、一番になりたい!という想いが絶対に刷り込まれていると書きます。確かにね~。とにかく熱い一冊。