読了本ストッカー:古典時代伝奇小説……『妖棋伝』

妖棋伝 (春陽文庫)
著者:角田 喜久雄
販売元:春陽堂書店
発売日:1991-09


2008/12/10読了。


三田主水氏の時代伝奇もの専門サイト<主水血笑録>の企画、<入門者向け時代伝奇小説五十選>に、『風雲将棋谷』、『髑髏銭』と共に紹介されていた本書。


角田喜久雄といえば、新古書店での並べ替え("つのだ"ではなく"かくた"と読まれて、"か"の場所に入っている角田氏の本を正しい場所に置き換える)を喜国雅彦氏がやってましたね~。春陽文庫は初めてだなあ……おぉ!文庫なのに二段組!


<山彦>と呼ばれる将軍家秘蔵の将棋の名器。その銀将四枚に秘められた謎を巡って、先の内大臣従二位今出川伊季卿の側室・悪女仙珠院、南町奉行所与力・赤地源太郎、蔵前の札差し・下条元亀、銀杏屋敷の主・陣馬一令、縄術の遣い手・縄いたち、などが入り乱れて争奪戦を繰り広げます。それに巻き込まれるのが武尊流縄術の遣い手・武尊守人。守人は亡父の遺言に従い、亡父唯一の弟子手塚三郎を探すため、江戸にきています。時は八代将軍吉宗の即位直前。ということはもちろん、あの大岡忠相も出てきます。


複数の秘宝争奪戦といえば、時代伝奇小説の王道(らしい)ですが、記述師の思い付くのは、横溝正史髑髏検校』所収の「神変稲妻車」。読んだときは、なんですでに揃っているのに持ってかれるんだあ~!と悶絶したものでしたが、さすがミステリ作家として著名(読んだことないんですけど)な角田氏、よく練られています。物理的トリック、心理的トリック、様々出てきますし、う~ん、完全に時代小説読んでるつもりだったので、いろいろと普通に騙されてしまいました(笑)。


『髑髏銭』はすでに手に入れていますので、次は『風雲将棋谷』も探さねば。


三田主水氏の「入門者向け時代伝奇小説五十選」(第二期)の掲載をず~っと心待ちにしております。