読了本ストッカー:「ある日、神の子たちが神の前に現れ、サタンもその中にいた」……『木曜の男』

木曜の男 (創元推理文庫 101-6)


G・K・チェスタトン


創元推理文庫


2008/9/10 読了。


 


    読みにくっ!まるで王様(覚えていますか?)のような直訳(たぶん)だっ!


    無政府主義者のふりをすることで、真の無政府主義組織の構成者であることを隠している(笑)ルシアン・グレゴリーは、酒場でガブリエル・サイムという詩人(?)に出会います。
    真の無政府主義者ではないとサイムに馬鹿にされたグレゴリーは怒り、絶対に口外しないと誓わせた上で自らの組織のアジトにサイムを連れて行きます。ところがサイムはそこで次のような発言をするのです。



「僕は君の秘密を警察に知らせないと神にかけて誓った。君も人道主義だか何だか、君が信じているおかしなものにかけて、僕の秘密をこの人たちに打ち明けないという約束をしてくれないだろうか」(略)「かんたんに説明すれば」とサイムは同じ迫らない口調でいった。
「君のようにただ詩人のふりをするという手は、君や君のところの議長に限られちゃいないんだ。警視庁でもわれわれはだいぶ前からその手を知っている」


    さあ大変~!こういうのは中盤でわかるものかと思ってましたけど、まだ33ページなのにあっさりばらしてしまいました。秘密を口外しないと誓った手前、どちらも他人を頼らずなんとかしないといけません・・・日本ではあり得ない設定だな。パズルのようです。


    これからロジカルな騙し合いが始まるのかと思いきや・・・なんだこれ?アマゾンのレビュー読むとほとんど絶賛なんですが(みんななぜか「一読の価値あり」という常套句を使っていて面白い)、正直記述師には良くわかりませんでした。


    前書きに「ブラウン神父でおなじみのチェスタトンが、奇想天外な着想でもって一世を驚倒させた唯一の長編推理小説!」・・・推理小説だったんだ、これ! 『ボートの中の三人男』の系譜に連なるユーモアギャグ小説かと思ったんだけど。一種の思想小説なんでしょうか? 力不足でした。


木曜日だった男 一つの悪夢 (光文社古典新訳文庫 Aチ 1-1)
こっちはどうなんでしょうね。読みやすいのでしょうか? それにしても・・・このサブタイトルは・・・ね。