読了本ストッカー:<後退理論>に魂消ろ!……『禅<ゼン・ガン>銃』

禅銃(ゼンガン) (ハヤカワ文庫 SF (579))


バリントン・J・ベイリー


ハヤカワ文庫


2008/6/27読了。


ベイリーの著作は『時間衝突 (創元推理文庫)』を読んだのみ。傑作と名高い『カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)』も読みたいのですが、見つかんないので本書から。


時ははるか未来(多分)。人類帝国の黄昏時。<千に満たない惑星に住む百万の人間が統べている>、というのだから末期も末期。っていうことは・・・ひとつの惑星に千人!?  村か? 宇宙艦隊も五つしかないし・・・。実際作内に登場するある惑星なんて、三人しか住んでいないとこも・・・(オイオイ)。


帝国は人材不足のため豚とか象とかに知性を与え、副官などに登用(オイオイオイ)。ロボット連中は市民権取得を叫んでストライキ中(オイオイオイオイ)。しかし、一番オイオイオイオイオイだと思われるのは、本書設定のキモ<後退理論>。正直細かいことは全然わかりませんが・・・。乱暴にまとめると<宇宙に引力なんてない。あるのは斥力だけ>ということ・・・かな?ベイリーのあとがきによれば・・・



   重力が斥力だとしたらどうだろう? ひとつひとつの物質のかけらは、全宇宙のその他のすべてのかけらにとりかこまれており、それぞれが斥力に対して不透明であるとさえ仮定すれば、(比較的)近い物体同士のあいだでは、斥力は見かけ上引力として働きうる。地球と月が結びついているのは、全宇宙の斥力圧が、たがに離れようとする両者間の本来の斥力に打ち勝っているからなのだ。ちょっと飛躍するだけで、われわれは重力と諸銀河系の後退とを関連づけたわけである。


おぉ?ちょっと納得しそうな自分が怖いです。イーガンにしろベイリーにしろ、SF作家をホント尊敬しますよ・・・。それにしても<禅ガン>なんてどうでもよくなるな・・・(タイトルなのに)。