読了本ストッカー:マジカルな暴君のマジカルな治世……『族長の秋』

族長の秋 (集英社文庫)


ガブリエル・ガルシア=マルケス


集英社文庫


2008/6/9読了。


 


ずーっと昔に買って積んだままの『百年の孤独』も読まないといけないのですが・・・先にこっち。『族長の秋 他6篇』ではなくて文庫版です。


解説によるとJ・モルマル『アマリア』、M・A・アストゥリアス『大統領閣下』、A・カルペンティエル『方法再説』、A・ロア=バストス『至高の存在たる余は』をはじめとする<独裁者もの>に連なる作品とのこと。どれも読んだことないなあ(しらないし)。


記述師の中で<独裁者もの> といえば、池澤夏樹氏の『マシアス・ギリの失脚 (新潮文庫)』かなあ。


本書は、改行はないし、会話文もかぎかっこないし、様々な人物の一人称と三人称が入り乱れて、最初は何が起きているのか不明だし・・・とても読みにくく感じましたが、慣れてくるとクセになるリズム。最初は「うわ、これ読み終わるかなあ」と思いましたが、あれよあれよという間に読み終えました。


大統領のマジカルな在世数百年を、ブラッドベリとはまた違う巧みな比喩の溢れる文章で綴ります。ブラッドベリもすごいと思ったけど、マルケスもまた、圧倒的です。


なんだか子どもの頃とても好きだった<ぼくは王さま>シリーズを思い出しました。たまごやきが大好きで、勉強が嫌いで、くじらのたまごを探してこいと大臣たちにいいつけたり・・・とにかくダメダメな王さまなのですよ、これが。そっくり!


何年か前に『ぼくは王さま全1冊』という本を古本屋で見つけまして、暇なときにパラパラ読んでます。日本のマジック・リアリズムも捨てたもんじゃないです(笑)。