読了本ストッカー:「柳生、仕事すべし!」……『ミャンマーの柳生一族』

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫)


高野秀行


集英社文庫


2008/5/26読了。


 


営業中にチラッと見た古本屋で発見。200円で入手しました。本当はガルシア=マルケスの『族長の秋』を読んでいたんですが、ちょっと触りを読んだら・・・ヤバい!面白い!止められなくなりました。高野氏の著作は順番に読もうと思ってたのに・・・。まあいいか(あっさり)。<独裁国家つながり>ということで。


一見すると伝奇小説のようなタイトルですが(江戸柳生、尾張柳生、朝鮮柳生ときてミャンマー柳生か?)、高野氏がミャンマー鎖国していた江戸日本に見立て、その中で暗然たる権力を有する<柳生一族>、ミャンマー国軍の情報部を表したものです。


早稲田大学探検部の先輩である船戸与一氏の取材旅行に同行し、ミャンマーに行くことになった高野氏。彼は、ミャンマーとは密入国で行く国だと認識していたため(どんな認識だ、それ)合法的な入国は初めて。少数民族地帯に密入国を繰り返し、反政府勢力を扱った著作も持つ高野氏は、自分がミャンマー政府のブラックリストに載っていることを確信していますが、あっさりビザ取得(笑)。逆に船戸氏がビザ発給を一時困難とされる事態に(笑)。ショックを受ける高野氏。もうこの辺からニヤニヤとしてしまいます。


ミャンマー政府から取材は「ナーガ・トラベル」という情報部が関係する旅行会社を使うよう指定され、いつミャンマーの柳生一族が接触してくるのか戦々恐々(?)とする高野氏ですが、イミグレもあっさり通過(笑)。その後もとんと音沙汰なし(ゲラゲラ)。



しかたがないので三日目に、こちらから柳生のみなさんを呼びにいった。例の柳生直営の旅行会社ナーガ・トラベルだ。


ヒ~苦しい~。そのノラクラぶりに、辺境には慣れている高野氏も



「柳生、仕事すべし!」


も~だめ! ニヤニヤが止まらぬ!


こういった行ったことのない土地の旅行記を読むときは、位置関係や人間関係などがなかなか頭に入ってこないんだけど、本作はものすごくわかりやすいです。江戸初期の関係になぞらえて、この州は島津、この州は伊達などと書かれているので、とてもイメージが膨らみます。


ちなみに記述師、幼稚園のお遊戯会で劇「ビルマの竪琴」を演じました(まったく関係ないけれど)。日本兵の役でした。セリフは・・・



「でも、どうして水島があんな姿に?」


高野氏の著作、ほんとに探そう!