読了本ストッカー:長山靖生入門編。……『 歴史に好奇心#2007年10月号』

歴史に好奇心(2007年10月)歴史に好奇心(2007年10月)


NHK出版


2007/10/30読了。


書店店頭で長山靖生氏の名前がパッと目に入ってきて、おお?と思い購入。NHKの番組「歴史に好奇心」のテキストです。


知るを楽しむ」という帯番組の木曜日が「歴史に好奇心」らしいのですが、水曜日の「人生の歩き方」は見城徹氏だし・・・。ふえ~。


何回か書いてきましたが、『偽史冒険世界―カルト本の百年』の著者である長山氏。むちゃくちゃ読んでみたいのですが、品切れの様子で全然手に入りません。11月の放送が<明治サイエンス事件帳>とのことだったので、長山氏の入門編として読んでみました。


 10月は<お伊勢参りニッポン観光事始め>で、こちらもかなり興味深かったです。伝奇マンガ『ニライカナイ』とかにも出てくるし、伊勢神宮といえば伝奇魂を揺さぶられますよね(?)。伊勢参りのメカニズムは知らなかったので、とても刺激になりました。赤福餅も伊勢名物として載っていて、結構タイムリーだったりして。


さていよいよ<明治サイエンス事件帳>です。



①“こっくりさん”に挑んだ妖怪ハンター



ここではかの妖怪博士、井上円了が取り上げられています。井上円了といえば京極夏彦氏の作品にもちらっと名前が出てきたりしますが、記述師は詳しく(というかまったく)その業績を知らなかったので、とても面白く読みました。



しかし、欧米でも問題になっているように、「神の死」は社会道徳の衰退を招き、過度の個人主義を誘発することになりかねません。日本でも近世までの幽霊譚は、その多くが因縁噺の形を取っており、仏教説話と密接に関連していました。それは世に迷信をはびこらせる原因となる一方で、人々の無軌道や不道徳を戒めるはたらきも持っていました。だから「妖怪退治」によって、ものごとを合理的に考えることを広く民衆に訴えかけることと、自律的な倫理観の啓発は、表裏一体で進めねばならないと円了は考えていました。


・・・すごいな!円了!


千里眼事件  闇に消えた超能力



御船千鶴子、長尾郁子など千里眼の持ち主とされた人間を研究した福来友吉らの業績(?)を解説しています。これだけじゃぁなんとも不完全燃焼な内容ですので、長山氏の著書『千里眼事件―科学とオカルトの明治日本 (平凡社新書)』もぜひ読んでみたいです。


③幻の発見  新元素“ニッポニウム



様々な科学の分野における発見競争。それぞれの所属する国家の威信にも関わってきて、現代以上に大変だったことでしょう。



科学的な思考を展開する際に妨げとなるのは、第一に自分の欲望であり偏見です。


これは本当に至言ですね。みな、自分の見たいものを見、聞きたいものを聞いてしまうのですから。


④ハレーすい星大接近!地球滅亡騒動



法学者にして、東京帝国大学総長、枢密顧問官、帝国学士院院長などを歴任した明治法学会の重鎮、加藤弘之が「他の恒星系への移民を提唱した」エピソードに唖然です。すごいなぁ、明治時代・・・。


やはりTV講座のテキストということで、さわり程度という印象。さてさて、長山氏の著作、本腰いれて探すかな。