新宮正春 集英社文庫
2007/10/17読了。
本書は情報もまったくなく、偶然ブックオフで見かけてカバー裏の解説のみで購入しました。表紙は村上豊、ゼーランジャ城・・・もうこれだけで伝奇臭&オリエンタル臭がする!と思いまして(笑)。筒井康隆の『ジャズ大名』みたいなものかと。果たして内容は伝奇小説のど真ん中でした。不覚にも知らなかったなあ、新宮正春。
台湾におけるオランダ東インド会社の拠点、ゼーランジャ城は、鄭成功軍による猛攻にさらされています。オランダ側には追放令により日本を追われたキリシタン大名の末裔が、鄭成功側には鉄人隊と呼ばれる日本人部隊がそれぞれ合力し、攻めるも守るも侍たちです。オランダや明の甲冑に混じって、髷を結い月代を剃った侍たちが剣を振るう・・・おぉぉ伝奇魂がぁ~(笑)。
しかもこれだけではただの時代小説(そうか?)。もちろそれだけではありません。遠く日本でも暗躍する人々が! これこれ、これですよ~! しかもマニアックすぎる血脈だし!(記述師が知らないだけですか?)面白かったです。もう少し長くてもいい気がするので、四つ星。
蛇足ですが、巻末解説は読まないほうが身のため。最初からラストまですべてネタばらしです。こんな解説いらないよ・・・読めばわかるんだから。
新宮氏の諸作は以下の通り。探してみよう。