読了本ストッカー:<天然脳髄>の持ち主、記述師です。……『脳髄工場』

脳髄工場 (角川ホラー文庫)


小林泰三  角川ホラー文庫


2007/9/5読了。


玩具修理者 (角川ホラー文庫)』『ΑΩ(アルファ・オメガ)―超空想科学怪奇譚 (角川ホラー文庫)』『目を擦る女 (ハヤカワ文庫JA)』に続いて読んでいます。
なんとなく『ゼウスガーデン衰亡史』の小林恭二氏とこんがらがる記述師でした。


本書はホラー系短編集。短いものもあり、ネタバレの恐れがあるので、個別の感想はやめておきます。「脳髄工場」「友達」「停留所まで」「同窓会」「影の国」「声」「C市」「アルデバランから来た男」「綺麗な子」「写真」「タルトはいかが?」の11編。


特に面白かったのは、<人工脳髄>をつけた人間ばかりの世界で自由意志の存在を問う「脳髄工場」、朝松健氏編集の『秘神界―現代編 (創元推理文庫)』にも収録されたクトゥルー譚「C市」あたりでしょうか。
短編なので正直、途中でラストがわかってしまうものもありますが、そんなのは瑣末な問題。「停留所まで」の都市伝説とか、「影の国」の量子力学離人症解決法(?)とか、「C市」のクトゥルーに関する理解方法とか、面白いポイントが多々ありました。記述師としては、傑作時間SFホラー「酔歩する男」のようなSF寄りの作品のほうが好みなのですが。初出が「YOU&I S ANYO」というのがいくつかあるんですが、なんだこれ?三洋電機の社内報でしょうか?