読了本ストッカー:か、かっこよすぎる!伝奇小説の星!……『十兵衛両断』

十兵衛両断 (新潮文庫)


荒山徹  新潮文庫


2007/8/3読了。


文庫王国で知って(多分)以来、「これは絶対に面白いに違いない!」と確信して探していました。105円ではなく150円で手に入れたのですが。著作を刊行順に読もうと思って読まずに取っておいたのですが、『魔風海峡 (上) (祥伝社文庫)』しか見つけられなかったので、あきらめて(笑)読みました。短編集というより連作集でしょうか。



「十兵衛両断」
・・・表題作。三代将軍家光の治世(「長七郎江戸日記」みたいだなぁ)、将軍家兵法指南役・柳生宗矩のもとを朝鮮の高官、孫文彧(ソンムンウク)が柳三厳(ユサムオム)を伴って訪れます。曰わく「柳生の麒麟児、十兵衛厳矩の力を貸して欲しい。敵は朝鮮新陰流」。・・・“朝鮮新陰流”・・・記述師の伝奇魂にビンビンきます、ビンビン。これ以上書くとネタバレするのでこの辺りで(笑)。


「柳生外道剣」
・・・時代は遡り、江戸開府から二年。白髯、白鬢をなびかせて戦う、剣聖・柳生石舟斎の凄まじい剣技が拝めます。それにしても朝鮮版神代文字(?)“加臨土(カリムト)”って初めて知ったなぁ・・・。どこの国にも同じようなものがあるんですね(汗)。


陰陽師・坂崎出羽守」
・・・坂崎出羽守といえば、千姫救出で有名ですが・・・陰陽師? 荒山伝奇世界のバビロン王F・U・ログナー(局所的比喩)柳生○○登場!いや~“柳生”といえば、江戸柳生と尾張柳生の面々くらいしか思い付かない記述師には知らないキャラ頻出で面白すぎます。


「太閤呪殺陣」
・・・柳生久三郎純厳・・・全然知らんかった。それにしても、はちゃめちゃむちゃくちゃです!日本最大最凶の大魔王もでてくるし、その大魔王の配下(?)“相模”がすごいぞ!何がすごいって・・・○○○○○ンですから、“相模”!


「剣法正宗溯源」
・・・荒山伝奇世界の剣聖ダグラス・カイエン(再び局所的比喩)柳生○○推参!いつも悪者なのにねぇ・・・よかったよかった(涙)。



「おおっ」次の瞬間、●●人の△△衆は、斉しくその光景を目の当りにした。○○○左衛門の身体が頭頂から股間まで真っ二つに裂け、迸る鮮血が赤い霧となって四方に渦を巻いたのを。
深紅の煙幕から抜け出るように○○が姿を現わした。その手にあるのは、無刀取りで奪った○左衛門の太刀である。


かっこえぇ~!


記述師フェイバリット伝奇作家の最前線に躍り出ました、荒山氏。他の作品も全部集めるぞ!(105円で!)