読了本ストッカー:映画版『薔薇の名前』?……『フリッカー、あるいは映画の魔㊤』

フリッカー、あるいは映画の魔〈上〉


2006/10/27読了。


映画+ノワール+ミステリ+伝奇…何でもありのボーダレス小説の傑作です。
UCLA映画学科の学生・ジョニー・ゲイツは、リバイバル上映で細々と食いつなぐ“クラシック座”でアルバイト(無料奉仕?)をしながら、経営者のクレアや映写技師のシャーキーから映画のイロハを叩きこまれています。その中でジョニーは幻の天才監督、マックス・キャッスルや、映画撲滅を図る謎の組織“オクルス・デイ(神の目)”について話を聞きます。
冒頭は映画の蘊蓄満載で、ニューシネマパラダイス的(?)な青春小説みたいですが、マルタ騎士団、キネマ神学などの名前が出てきてだんだんと伝奇小説じみてきます。マックス・キャッスルの作品を分析する過程は凄まじく、上巻だけでも満腹、五つ星です。