読了本ストッカー:カテゴリ不明の傑作小説!……『天使』

天使

 9/25読了。

本当に日本人が書いたとは思えないファンタジー小説(と言っていいのか・・・)。『バルタザールの遍歴』でも『1809―ナポレオン暗殺』でもビビらされましたが今作も素晴らしい出来です。
『劫尽童女』の記事で超能力者を描かせたら宮部みゆき恩田陸と書きましたが、佐藤亜紀の名前も忘れてはいけません。

ジェルジュ・エスケルスは「顧問官」と呼ばれるスタイニッツ男爵に拾われ、オーストリア諜報機関密偵として働くようになります。作中では「感覚」と呼ばれている能力戦がすごい!相手の思考を読むだけでなく、思考を刷り込んだり、頭の中を探ることで言葉を学んだり、剣術を身に付けたり。よくある設定といえばそうですが、とても新鮮な感じがするのは佐藤氏の筆力ゆえでしょうか?

世界史が苦手な私には誰が敵なの?状態ですが『ビルグリムイェーガー』などが好きな人ならきっと気に入ると思います。SF、伝奇、歴史何のカテゴリに登録するかするか迷う作品。解説は様々な媒体で佐藤氏を絶賛する豊崎由美氏。解説にもあるように、著者はまったくといっていいほど背景説明をしないので、えっそうだったの?!ってことが度々あります。五つ星!