読了本ストッカー:「アブドゥル・ハッサンの屁」の話に抱腹絶倒せよ!……『神の鉄槌』

神の鉄槌


2006/8/9読了。


記述師の大好きなアーサー・C・クラーク作品。
地球への衝突コースをたどる彗星「カーリー」を阻止するべく奮闘する人類の姿を描くSF長編です。
最初に一人の技術者の人生を辿ることで、同時に人類の宇宙開発史をなぞる手腕は見事の一言。傑作『幼年期の終り』の冒頭で、米ソの宇宙開発競争の劇的な終焉と、ふたりの科学者の悲哀を、ほんの数ページで見事に描いていたことを思い出します。
史上初の月面オリンピックや、(本書の)宇宙開発史に名を残すメンドーサ教授、レッドストーン上院議員などの挿話を交えつつ(アブドゥル・ハッサンの屁の挿話は抱腹絶倒です!必読!)話は進みますが、湾岸戦争を機会としてクリスラム教(キリスト教イスラム教の合体版みたいなものです)が誕生し、SETIがでてきて半分くらいにストーリーが達しても、カーリーはちょっとしかでてきません…。しかし見事なSFでした。五つ星!