読了本ストッカー2008

読了本ストッカー:妄想の日々再び……『夢のような幸福』

夢のような幸福 (新潮文庫 み 34-6) 三浦しをん 新潮文庫 2008/8/24読了。 今月の文庫新刊情報で、三浦しをん氏のエッセイ集『乙女なげやり』の書名を発見。おぉ、買わねばのう。何気に書店の文庫コーナーを見ていて、はたと気づく・・・あれ? 『夢のような…

読了本ストッカー:『蟹工船』よりこっちを読んで楽しくなろう!……『ボートの三人男』

ボートの三人男 (中公文庫) ジェローム・K・ジェローム 中公文庫 2008/8/21読了。 『犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』とか、ラヴゼイの『絞首台までご一緒に (ハヤカワ・ミステリ文庫)』とか、本書を本ネタにした作品が多数あ…

読了本ストッカー:タイトルも素敵……『象られた力』

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA) 飛浩隆 ハヤカワ文庫 2008/8/12読了。 『グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)』の発売で初めて知った飛浩隆氏。やはり入門編としては短篇集でしょう、ということで(偶然見つけただけだけれど)…

読了本ストッカー:記述師的ファンタジーの最高峰……『黎明の王 白昼の女王』

黎明の王 白昼の女王 (ハヤカワ文庫FT) イアン・マクドナルド ハヤカワ文庫 2008/8/5読了。 読みはじめたとたん、これ、すごいの読んじゃったな・・・とわかる凄まじい出来。むちゃくちゃ記述師のストライクゾーンです。 第一部は、複数の人物の日記や書簡の…

読了本ストッカー:コリン・ウィルソン版『脳男』……『賢者の石』

賢者の石 (創元推理文庫 641-1) コリン・ウィルソン 創元推理文庫 2008/7/25読了。 わたくし、<クトゥルー神話>ものは、原典をすべて読んでからに読むことにしようと思っていまして、『邪神帝国 (ハヤカワ文庫JA)』とか『妖神グルメ』とか『崑央の女王』とか…

読了本ストッカー:ああ勘違い……『事故係 生稲昇太の多感』

事故係 生稲昇太の多感 (講談社文庫) 首藤瓜於 講談社文庫 2008/7/10読了。 首藤瓜於と言えば『脳男 (講談社文庫)』、『脳男』といえば首藤瓜於。それくらい衝撃的でした、『脳男』。 続く第2作ということで期待大で読み始めると・・・ん?こんな話?警察の…

読了本ストッカー:言語SFか?幻想SFか?……『幻詩狩り』

幻詩狩り (中公文庫) 川又千秋 中公文庫 2008/7/9読了。 大森望氏の『現代SF1500冊』で知った(たぶん)本書。最近創元SF文庫より復刊されていますが、記述師が読んだのは中公文庫版。 日本SFの王道(?)幻想言語SFです。1964年代に、フー・メイなる詩人に…

読了本ストッカー:養老孟司の万物理論……『脳の見方』

脳の見方 (ちくま文庫) 養老孟司 ちくま文庫 2008/7/7読了。 <初期>(あえてかっこつき)の<ダ・ヴィンチ>で知ったはず。『涼しい脳味噌 (文春文庫)』『続・涼しい脳味噌 (文春文庫)』は読んだのですが(覚えてないけど)本書は積ん読でした・・・。実は『唯…

読了本ストッカー:自分の中の<こども>と、そして現実のこどもと向きあう本……『氷の海のガレオン/オルタ』

氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫) 木地雅映子 ピュアフル文庫 2008/7/1読了。 新刊『悦楽の園』の出版時、<ダ・ヴィンチ>で紹介されていて、知りました。なんだか面白そうだったため購入。 表題作「氷の海のガレオン」の主人公は、<自分を天才だと…

読了本ストッカー:<魔人>澤村田之助……『狂乱廿四孝』

狂乱廿四孝 (角川文庫) 北森鴻 角川文庫 2008/7/1読了。 第六回鮎川哲也賞受賞作品にして、北森鴻氏のデビュー作です。脱疽のため、四肢切断の憂き目にあう、三世澤村田之助を中心とする、明治初期の歌舞伎界を描いたミステリ。 澤村田之助といえば皆川博子…

読了本ストッカー:<後退理論>に魂消ろ!……『禅<ゼン・ガン>銃』

禅銃(ゼンガン) (ハヤカワ文庫 SF (579)) バリントン・J・ベイリー ハヤカワ文庫 2008/6/27読了。 ベイリーの著作は『時間衝突 (創元推理文庫)』を読んだのみ。傑作と名高い『カエアンの聖衣 (ハヤカワ文庫 SF 512)』も読みたいのですが、見つかんないので本…

読了本ストッカー:SFスプラッタ……『複製症候群』

複製症候群 (講談社文庫) 西澤保彦 講談社文庫 2008/6/25読了。 『ディアスポラ』はクローンなんて屁とも思わない感じ(言いすぎ)でしたが、本書ではアイデンティティ崩壊の危機が連発です。 西澤保彦氏のSFミステリは『七回死んだ男 (講談社文庫)』『人格…

読了本ストッカー:物理勉強しないと。……『ディアスポラ』

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF) グレッグ・イーガン ハヤカワ文庫 2008/6/24読了。 いや~難解だ!さすが現代SFの極北・・・。 イーガンは『宇宙消失 (創元SF文庫)』『しあわせの理由』に続いて3作目。刊行順に『順列都市〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)』『万物理…

読了本ストッカー:あっさり風味の隆伝奇……『駆込寺蔭始末』

駆込寺蔭始末 (光文社時代小説文庫) 隆慶一郎 光文社文庫 2008/6/10読了。 隆慶一郎氏の連作短編集です。 < 縁切寺>として名高い松岡山東慶寺。江戸時代の女性たちのアジールとして隠然たる力をもつこの寺の住持、玉渕尼の用心棒、<麿>の活躍を描きます。 <…

読了本ストッカー:マジカルな暴君のマジカルな治世……『族長の秋』

族長の秋 (集英社文庫) ガブリエル・ガルシア=マルケス 集英社文庫 2008/6/9読了。 ずーっと昔に買って積んだままの『百年の孤独』も読まないといけないのですが・・・先にこっち。『族長の秋 他6篇』ではなくて文庫版です。 解説によるとJ・モルマル『アマ…

読了本ストッカー:電車内読者は厳禁!……『ワセダ三畳青春記』

ワセダ三畳青春記 (集英社文庫) 高野秀行 集英社文庫 2008/5/28読了。 『ミャンマーの柳生一族』が面白かったので、またまた『族長の秋』はほっぽいといて、続けて高野秀行氏作品。こんなにハマったのも久々だなぁ。 高野氏が棲んでいた(まさに<棲>という字…

読了本ストッカー:「柳生、仕事すべし!」……『ミャンマーの柳生一族』

ミャンマーの柳生一族 (集英社文庫) 高野秀行 集英社文庫 2008/5/26読了。 営業中にチラッと見た古本屋で発見。200円で入手しました。本当はガルシア=マルケスの『族長の秋』を読んでいたんですが、ちょっと触りを読んだら・・・ヤバい!面白い!止められな…

読了本ストッカー:ホラーとは何か?……『ホラーを書く!』

ホラーを書く! (小学館文庫) インタビュー/東雅夫 小学館文庫 2008/5/21読了。 ホラー評論家として活躍する東雅夫氏による、ホラー小説作家インタビュー集です。その人選の法則は「ホラー作家と呼ばれることを嫌がる連中にはインタビューしてやんない!」と…

読了本ストッカー:それいけ早稲田探検隊!……『幻獣ムベンベを追え!』

幻獣ムベンベを追え (集英社文庫) 高野秀行 集英社文庫 2008/5/20読了。 エンタメノンフのさきがけ(?)。高野氏の作品は初挑戦。 ムムム・・・これ、なんで今まで読まなかったんだろうなぁ・・・おもろい。 高野氏率いる早稲田大学探検部は、コンゴの奥地…

読了本ストッカー:グルメ版マクロス(嘘)……『妖神グルメ』

妖神グルメ (ソノラマ文庫 (278)) 菊地秀行 ソノラマ文庫 2008/5/19読了。 菊地秀行氏によるクトゥルー神話大系異色作。クトゥルーの胃袋を満足させるために選ばれた、天才イカモノ料理家を巡るストーリーです。 これでもかこれでもかと、邪神を満足されるた…

読了本ストッカー:死に場所を探す男たち……『山田風太郎傑作大全#07叛旗兵』

叛旗兵―山田風太郎傑作大全〈7〉 (広済堂文庫)山田風太郎廣済堂文庫2008/5/14読了。<山田風太郎傑作大全>の7巻目は『叛旗兵』。上杉家の宿将、直江山城守が米沢に隠棲して十余年。その娘、伽羅に仇敵本田正信の息子との縁談が持ち上がります。あて馬として選…

読了本ストッカー:「耳をすまして」とティモシーはいった……『塵よりよみがえり』

塵よりよみがえり (河出文庫) レイ・ブラッドベリ 河出文庫 2008/5/9読了。 考えろ。望め。望みをかなえる力があれば―そうなるんだ! 〈ひいが千回つくおばあちゃん〉が言います。 「一族なんだよ、みんな風変わりですばらしいんだ。夜に歩き、風に乗って空…

読了本ストッカー:トヨザキ社長再び!……『どれだけ読めば、気がすむの?』

どれだけ読めば、気がすむの? 豊崎由美 アスペクト 2008/5/4読了。 前著『そんなに読んで、どうするの?』は、基本的に1冊の本について、丁寧に解説したものでしたが、本書は約3冊ずつの書評が中心。本当に短い文章の中で読みたい気にさせます。上手だよなぁ…

読了本ストッカー:作家たちの声を聴く……『One author,One book.』

One author, One book ― 同時代文学の語り部たち 新元良一 本の雑誌社 2008/4/30読了。 新元氏の『翻訳文学ブックカフェ2』で知った本書。27人の作家へのインタビュー集です。本来はもちろん、作品単体で評価すべきですが、作家自身の記述で読みたくなるもの…

読了本ストッカー:まずは自分たちの足元から見直し。……『出版クラッシュ!?』

出版クラッシュ!?―書店・出版社・取次 崩壊か再生か 超激震鼎談・出版に未来はあるか?〈2〉 安藤哲也/小田光雄/永江朗 編書房 2008/4/27読了。 『石塚さん、書店営業にきました。』に続いて出版業界本を読了。 2000年発行の本書ですが、もちろん今でも使え…

読了本ストッカー:版元営業必読書。……『石塚さん、書店営業にきました。』

石塚さん、書店営業にきました。 石塚昭生 ポット出版 2008/4/25読了。 いろいろなところで多く採り上げられている本書。わたしのようなものが紹介するまでもありませんが・・・なにはともあれ、本書が版元営業の必読書であることは間違いありません。 私も…

読了本ストッカー:「努力し、探索し、発見し、しかして屈するところなく」……『世界最悪の旅』

世界最悪の旅―スコット南極探検隊 (中公文庫BIBLIO) チェリー・ガラード 中公文庫BIBLIO 2008/4/23読了。 本書を知ったのは『200X年文学の旅』で。T・R・ピアソンの未邦訳作品『極地』の紹介文章でした。その後大阪への出張中に、ホテルへの帰り道にあった、…

読了本ストッカー:戦国版『日の名残り』……『本覚坊遺文』

本覚坊遺文 (講談社文庫) 井上靖 講談社文庫 2008/4/16読了。 いつも拝見しているブログ「日曜の黄昏は夢を紙くずに変えてゆく」のさっとさんのエントリで知った本書。早速入手し、読了しました。 茶人千利休の死後、隠遁生活を送る弟子の本覚坊。とはいえ、…

読了本ストッカー:やっぱり翻訳家の話は面白い!……『翻訳文学ブックカフェⅡ』

翻訳文学ブックカフェ2 新元良一 本の雑誌社 2008/4/11読了。 図書館にて借りました。とてもとても興味深い。下記はインタビューに登場した翻訳家と、インタビューで言及された書籍の中で、未読のものです。またたくさん増えたなぁ(涙) ◆高見浩 ヘミングウ…

読了本ストッカー:純オカルト版『ガダラの豚』?……『魔境殺神事件』

魔境殺神事件 (新潮文庫) 半村良 新潮文庫 2008/4/4読了。 『怪奇幻想ミステリ150選』で知って手に入れました。 『怪奇幻想ミステリ150選』での情報は<神が殺された。しかも何もない空間に宙吊り>。<神が殺された>という状況をどう描くのか、興味津々で…